エミリィ・ディキンスン資料センター便り【2022年07月(最新)】

エミリィ・ディキンスン資料センターは、2001(平成13)年4月に金ケ崎町立図書館内に開設され、日本エミリィ・ディキンスン学会会員等から寄贈いただいた研究資料や関連図書等を所蔵・公開しています。また、毎月「エミリィ・ディキンスン資料センター便り」を発行しています。

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【エミリィ・ディキンスン】(1830-1886)
詩人。アメリカ マサチューセッツ州アマースト町出身(アマースト町は金ケ崎町の友好姉妹都市の1つ)

名士の家に生まれ、当時の女性としては最高の教育を受けた。自然、人生、愛、死、不滅などをテーマとした詩が多い。エミリィは生前10篇の詩を発表したのみだったが、死後に遺品の中から大量の詩が発見された。生前は無名だったが、今ではアメリカの生んだ最も優れた詩人のひとりにかぞえられている。
エミリィの斬新な作詩方法は後世の詩人たちにも大きな影響を与えた。2020年にノーベル文学賞を受賞したルイーズ・グリュックは、「エミリィ・ディキンスンに連なる女性」とたたえられている。

金ケ崎町の友好姉妹都市の一つであるアマースト町は、エミリィ・ディキンスンが生涯を過ごした町であることから、その縁で、当町では2001(平成13)年4月1日にエミリィ・ディキンスン資料センターを開設し、2021(令和3)年に20周年を迎えた。

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2022(令和4)年7月の「エミリィ・ディキンスン資料センター便り」
The Whisper from Amherst~エミリィのささやき~ 
PDF版はこちら

エミリィはどの季節よりも夏を好み、エミリィが書いた1800余りの詩の中で、夏について言及した作品が145篇もあります。次に多い季節が冬ですが、39篇でとても夏の数には及びません。家から出ることがあまりなかった事が強調されがちですが、10代から20代前半は家族旅行も楽しみました。しかし、水やりは十分かしら、あの花は帰る頃にはもう終わっているかしら、といつも家の庭のことを気にしながら出かけるのでした。

‘It will be Summer-eventually.’

It will be Summer-eventually.
Ladies-with parasols-  
Sauntering Gentlemen-with Canes-   
And little Girls-with Dolls-

Will tint the pallid landscape-
As ‘twere a bright Boquet-
Tho drifted deep, in Parian-
The Village lies-today-

The Lilacs-bending many a year-    
Will sway with purple load-
The Bees-will not despise the tune-  
Their Forefathers-have hummed-  

The Wild Rose-redden in the Bog-
The Aster-on the Hill
Her everlasting fashion-set-
And Covenant Gentians-frill-

Till Summer folds her miracle-
As Women-do-their Gown-
Or Priests-adjust the Symbols-
When Sacrament-is done-

するとやっと夏になるのだ
婦人たちがパラソルを
散歩する紳士たちがステッキを
そして少女たちが人形を手にするとー

青味がかった風景も
明るい花束のように染まるだろう
たとえ今は 村はパロス焼きのように
重くうず高く横たわっているけれど

長い月日に腰をかがめたライラックも
紫の荷物を背にして揺れるだろうし
蜜蜂も祖先の伝える羽音の旋律を
軽蔑などしないだろう

沼地の野バラは赤くなる
丘の上のえぞ菊は
あのいつもの形を身につける
そして竜胆はひだ飾りをまとうのだ

聖餐式の終わったあとで
婦人たちがガウンをたたむように
牧師が十字架を元へ戻すように
やがて夏が自分の奇蹟を片附けてしまうときまでー

 (訳: 中島 完 「続自然と愛と孤独と」 国文社 より)

ボストンで叔母のLaviniaと訪れた園芸展ではギリシャ風寺院、苔と花々で飾られたスイス風コテージ、東洋風の塔などに魅せられたエミリィでした。 Nellie’s Mom

     
      
  えぞ菊          パロス焼きの石材       エミリィが1846年に訪れた
                              「ボストン園芸展」会場
 
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【過去の「エミリィ・ディキンスン資料センター便り」はこちらから】
2022(令和4)年6月の「エミリィ・ディキンスン資料センター便り」
2022(令和4)年5月の「エミリィ・ディキンスン資料センター便り」
2022(令和4)年4月の「エミリィ・ディキンスン資料センター便り」
2022(令和4)年3月の「エミリィ・ディキンスン資料センター便り」
2022(令和4)年2月の「エミリィ・ディキンスン資料センター便り」
2022(令和4)年1月の「エミリィ・ディキンスン資料センター便り」

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【過去の「エミリィ・ディキンスン資料センター便り」PDF版はこちらから】
2021(令和3)年12月の「エミリィ・ディキンスン資料センターだより」(PDF)
2021(令和3)年11月の「エミリィ・ディキンスン資料センターだより」(PDF)
2021(令和3)年10月の「エミリィ・ディキンスン資料センターだより」(PDF)
2021(令和3)年9月の「エミリィ・ディキンスン資料センターだより」(PDF)
2021(令和3)年8月の「エミリィ・ディキンスン資料センターだより」(PDF)
2021(令和3)年7月の「エミリィ・ディキンスン資料センターだより」(PDF)
2021(令和3)年6月の「エミリィ・ディキンスン資料センターだより」(PDF)
2021(令和3)年5月の「エミリィ・ディキンスン資料センターだより」(PDF)
2021(令和3)年4月の「エミリィ・ディキンスン資料センターだより」(PDF)

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【エミリィ・ディキンスン資料センター20周年】
2021(令和3)年11月6日開催のエミリィ・ディキンスン資料センター20周年「エミリィの調べ 」の模様はこちらから


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【エミリィ・ディキンスンと宮沢賢治】
エミリィ・ディキンスン(1830-1886)。岩手県出身の童話作家・詩人である宮沢賢治(1896-1933)。当館及びエミリィ・ディキンスン資料センターでは近年、エミリィと賢治をテーマとした企画展を行っています。
企画展「エミリィと賢治 宝石に秘めた世界」(2021(令和3)年8月~2022(令和4)年1月開催)の内容はこちらから


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【ミューラル】
アマースト在住J・イングレージ氏の作によるミューラル。日米の文化を題材にしています。玄関ホールに設置しています。